次期NSX 車の歴史 塗り替える ハイブリッド スポーツカー 3つのモーター [次期NSX 車の歴史 塗り替える ハイブリッド]
ハイブリッドが、スポーツカーの世界に新時代を拓こうとしており、ホンダの次期NSXは、3つのモーターを使って4輪を駆動、制動し、より自由度が高く、細かに駆動力を制御できるようです。
2015 Acura NSX Prototype on track
-----以下、THE PAGE 2014年03月23日18時00分 より引用-----
次期NSXは3モーター・ハイブリッドで自動車の歴史を塗り替える
[写真]昨秋の東京モーターショーに登場した次期NSXのコンセプトモデル
ホンダNSXがハイブリッドスポーツになって復活する。そもそもハイブリッドのスポーツカーという概念自体に疑問を感じる人も多いだろう。「スポーツカーを無理やりハイブリッドに仕立てる必要は無いのではないか?」 プリウス登場以来の流れを振り返ると、ハイブリッド=エコカーと思われるのも無理は無い。しかし今、テクノロジーに革命が起ころうとしている。従来の概念を打ち破り、ハイブリッドがスポーツカーの世界に新時代を拓こうとしているのだ。
スポーツカー=ハイブリッド時代の幕開け
プリウスが登場した時「ハイブリッドは燃料電池登場までのショートリリーフ」だと思われていた。それは当のトヨタですら例外ではなかった。しかし燃料電池の開発は難航する。世界中のメーカーが燃料電池の開発が長期戦になることを思い知る間に、トヨタはエコ・ハイブリッドの周辺にある技術パテントを、他社が手出しできないほどガチガチに固めてしまった。各社がハイブリッドの開発に乗り出した時にはもう手遅れだった。
そのため欧州メーカーの至上命題は「トヨタのパテントを回避したハイブリッド技術の開発」となり、各社生き残りを賭けた逆転のための知恵比べが始まったのだ。主役はポルシェとフェラーリだった。彼らはスポーツカーの性能向上にハイブリッド技術が有用であることを見出した。ミリセコンド単位で制御が可能なモーターのレスポンスを活かすことで、エンジンでは不可能なレベルで緻密なトラクション制御とその制御による限界性能の向上を達成した。そうして2010年のジュネーブモーターショーにポルシェ918とフェラーリ599ハイブリッドが発表された。これがスポーツハイブリッドのひとつ目の革命だ。
4つのタイヤを自在に操るNSXの可能性
ふたつ目の革命は、モーター/ジェネレータを使って4輪を個別に駆動/制動することで、クルマの向きを積極的に変えられることだ。そのためには本来4輪に個別にモーターがあることが望ましい。次期NSXは、その一歩手前の段階として、縦置きV6ミドの3モーターハイブリッドとしてわれわれの前に姿を現すはずだ。
3つのモーターは、ひとつ目がフィットと同様にトランスミッションに組み込まれる。これはトルク配分機構を経て左右後輪を駆動する。残りの2つのモーターは、フロントの左右輪にひとつずつ、計3つのモーターを備える。つまり、4つのタイヤにかける駆動力を1輪ごとに自由に変えられるシステムだ。
例えば左旋回する時、左前輪を回生ブレーキモードで動作させれば、車両から見て後方に押される(1輪だけ回生ブレーキを作動させると、クルマの減速だけでなく、旋回時の消費エネルギーもリサイクルできる。エコカーとしても画期的だ)。一方、右の後輪に積極的に駆動力をかければ前へ出ようとする。これによって、ハンドル以外のファクターでクルマの向きを左に変えることができる。
ランエボのアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)の概念と近いが、新型NSXは前2輪にそれぞれ専用動力源を持つため、より自由度が高く、さらに前述の様にミリセコンド単位で駆動力を制御できるアドバンスがある。加えてアキュラRLXに追加された後輪操舵システムも採用が検討されている。次期NSXが未だかつて無い旋回軌道を描く可能性には期待するだけの理由があるのだ。
「1輪が加速・1輪が減速」開発は難航か
ただし、開発の難航は予想される。サスペンションの最大の任務は、タイヤを路面に接地し続けさせることだが、同時に乗り心地の確保という命題もある。路面からタイヤが受けた力をそのままボディに伝えてしまうと、快適性があまりにも阻害されるので、サスペンションの各部にはゴムブッシュなどを入れてノイズや振動を遮断する。
従来の自動車は、基本的に4つのタイヤに加速か減速の力が同時にかかっていた。もちろん旋回中に多少左右の力のかかり具合にズレが生じることがあっても、1輪が加速、1輪が減速というような無茶はなかったのだ。
しかしエレクトロニクス・スタビリティ・コントロール(ESC)の登場によって駆動力をかけながら1輪だけブレーキをかける状況が現れた。これをやると、ブッシュもサスペンションもボディも必ず変形する。そうなればタイヤの向きがわずかに狂って、挙動がおかしくなるのだ。
ハイブリッドスポーツでは、そういうギャップがよりダイナミックに起きるケースが増えるはずだ。新次元のハンドリングを目指せば目指すほど、当面は乗り心地に目をつぶってブッシュ容量を落とすしか方法がなくなるだろう。しかし、ずっとそのままというわけには行かない。問題を解決しながら全体のバランスをまとめ上げていく力が求められるのだ。
自動車の未踏の歴史を行く
複数の動力源を持って、4輪に力を出し入れするという概念は、自動車の歴史に無かった新しい世界だ。未踏の新世界を発見したようなものだから地図は無い。当然検証する方法から開発をしなくてはならない。経験的にテストやチェックの項目が確立していてそのメニューに則って進めば、万遺漏なくクルマが完成するという世界でない。そこが先駆者の辛さだろう。
例えばドライバーがミスしてスピンしたケースでは、電子制御を総動員してクルマの姿勢を立て直すことが求められる。しかし例えば180°でスピンが終息してクルマの向きが後ろ向きになった場合、クルマには慣性でバックする方向の力がかかる。この力にモーターが拮抗しようとしたらモーターが耐えられない。だからどこかの時点で制御を切ってやらなくてはならない。
しかし、いつどういう条件で制御を切るかの判断は難しい。挙動を乱してスピンすると言う一連の動きの中での話だからだ。こういう「頻繁に起きる可能性は低いが、起きたらリスクが高いケース」での制御の問題なども解決しないと製品にできないのだ。実車テストで毎度同じようにスピンを再現することは難しいので、コンピュータシュミレーションで解決するのだが、ではバッテリーが空の時スピンしたらどう制御するのか、個別制御中にギャップでタイヤが浮いたらどうするのかなど、テスト項目を果てしなく組み上げなくてはならない。
次期NSXは新時代のスポーツカーの可能性を予感させる。それだけに難しさもある。その陰と陽がどんな形で結実してくるのかに大きな期待をして待とうではないか。
(池田直渡/モータージャーナル)
-----以上、THE PAGE 2014年03月23日18時00分 より引用-----
がんばれ~!次期NSX ハイブリッド 3つのモーター!
2015 Acura NSX Prototype on track
-----以下、THE PAGE 2014年03月23日18時00分 より引用-----
次期NSXは3モーター・ハイブリッドで自動車の歴史を塗り替える
[写真]昨秋の東京モーターショーに登場した次期NSXのコンセプトモデル
ホンダNSXがハイブリッドスポーツになって復活する。そもそもハイブリッドのスポーツカーという概念自体に疑問を感じる人も多いだろう。「スポーツカーを無理やりハイブリッドに仕立てる必要は無いのではないか?」 プリウス登場以来の流れを振り返ると、ハイブリッド=エコカーと思われるのも無理は無い。しかし今、テクノロジーに革命が起ころうとしている。従来の概念を打ち破り、ハイブリッドがスポーツカーの世界に新時代を拓こうとしているのだ。
スポーツカー=ハイブリッド時代の幕開け
プリウスが登場した時「ハイブリッドは燃料電池登場までのショートリリーフ」だと思われていた。それは当のトヨタですら例外ではなかった。しかし燃料電池の開発は難航する。世界中のメーカーが燃料電池の開発が長期戦になることを思い知る間に、トヨタはエコ・ハイブリッドの周辺にある技術パテントを、他社が手出しできないほどガチガチに固めてしまった。各社がハイブリッドの開発に乗り出した時にはもう手遅れだった。
そのため欧州メーカーの至上命題は「トヨタのパテントを回避したハイブリッド技術の開発」となり、各社生き残りを賭けた逆転のための知恵比べが始まったのだ。主役はポルシェとフェラーリだった。彼らはスポーツカーの性能向上にハイブリッド技術が有用であることを見出した。ミリセコンド単位で制御が可能なモーターのレスポンスを活かすことで、エンジンでは不可能なレベルで緻密なトラクション制御とその制御による限界性能の向上を達成した。そうして2010年のジュネーブモーターショーにポルシェ918とフェラーリ599ハイブリッドが発表された。これがスポーツハイブリッドのひとつ目の革命だ。
4つのタイヤを自在に操るNSXの可能性
ふたつ目の革命は、モーター/ジェネレータを使って4輪を個別に駆動/制動することで、クルマの向きを積極的に変えられることだ。そのためには本来4輪に個別にモーターがあることが望ましい。次期NSXは、その一歩手前の段階として、縦置きV6ミドの3モーターハイブリッドとしてわれわれの前に姿を現すはずだ。
3つのモーターは、ひとつ目がフィットと同様にトランスミッションに組み込まれる。これはトルク配分機構を経て左右後輪を駆動する。残りの2つのモーターは、フロントの左右輪にひとつずつ、計3つのモーターを備える。つまり、4つのタイヤにかける駆動力を1輪ごとに自由に変えられるシステムだ。
例えば左旋回する時、左前輪を回生ブレーキモードで動作させれば、車両から見て後方に押される(1輪だけ回生ブレーキを作動させると、クルマの減速だけでなく、旋回時の消費エネルギーもリサイクルできる。エコカーとしても画期的だ)。一方、右の後輪に積極的に駆動力をかければ前へ出ようとする。これによって、ハンドル以外のファクターでクルマの向きを左に変えることができる。
ランエボのアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)の概念と近いが、新型NSXは前2輪にそれぞれ専用動力源を持つため、より自由度が高く、さらに前述の様にミリセコンド単位で駆動力を制御できるアドバンスがある。加えてアキュラRLXに追加された後輪操舵システムも採用が検討されている。次期NSXが未だかつて無い旋回軌道を描く可能性には期待するだけの理由があるのだ。
「1輪が加速・1輪が減速」開発は難航か
ただし、開発の難航は予想される。サスペンションの最大の任務は、タイヤを路面に接地し続けさせることだが、同時に乗り心地の確保という命題もある。路面からタイヤが受けた力をそのままボディに伝えてしまうと、快適性があまりにも阻害されるので、サスペンションの各部にはゴムブッシュなどを入れてノイズや振動を遮断する。
従来の自動車は、基本的に4つのタイヤに加速か減速の力が同時にかかっていた。もちろん旋回中に多少左右の力のかかり具合にズレが生じることがあっても、1輪が加速、1輪が減速というような無茶はなかったのだ。
しかしエレクトロニクス・スタビリティ・コントロール(ESC)の登場によって駆動力をかけながら1輪だけブレーキをかける状況が現れた。これをやると、ブッシュもサスペンションもボディも必ず変形する。そうなればタイヤの向きがわずかに狂って、挙動がおかしくなるのだ。
ハイブリッドスポーツでは、そういうギャップがよりダイナミックに起きるケースが増えるはずだ。新次元のハンドリングを目指せば目指すほど、当面は乗り心地に目をつぶってブッシュ容量を落とすしか方法がなくなるだろう。しかし、ずっとそのままというわけには行かない。問題を解決しながら全体のバランスをまとめ上げていく力が求められるのだ。
自動車の未踏の歴史を行く
複数の動力源を持って、4輪に力を出し入れするという概念は、自動車の歴史に無かった新しい世界だ。未踏の新世界を発見したようなものだから地図は無い。当然検証する方法から開発をしなくてはならない。経験的にテストやチェックの項目が確立していてそのメニューに則って進めば、万遺漏なくクルマが完成するという世界でない。そこが先駆者の辛さだろう。
例えばドライバーがミスしてスピンしたケースでは、電子制御を総動員してクルマの姿勢を立て直すことが求められる。しかし例えば180°でスピンが終息してクルマの向きが後ろ向きになった場合、クルマには慣性でバックする方向の力がかかる。この力にモーターが拮抗しようとしたらモーターが耐えられない。だからどこかの時点で制御を切ってやらなくてはならない。
しかし、いつどういう条件で制御を切るかの判断は難しい。挙動を乱してスピンすると言う一連の動きの中での話だからだ。こういう「頻繁に起きる可能性は低いが、起きたらリスクが高いケース」での制御の問題なども解決しないと製品にできないのだ。実車テストで毎度同じようにスピンを再現することは難しいので、コンピュータシュミレーションで解決するのだが、ではバッテリーが空の時スピンしたらどう制御するのか、個別制御中にギャップでタイヤが浮いたらどうするのかなど、テスト項目を果てしなく組み上げなくてはならない。
次期NSXは新時代のスポーツカーの可能性を予感させる。それだけに難しさもある。その陰と陽がどんな形で結実してくるのかに大きな期待をして待とうではないか。
(池田直渡/モータージャーナル)
-----以上、THE PAGE 2014年03月23日18時00分 より引用-----
がんばれ~!次期NSX ハイブリッド 3つのモーター!
2014-03-24 12:10
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