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ミゲルくん 消臭力 エステー 思い 予算規模 哲学 さくらまや ミゲルくん [ミゲルくん 消臭力 エステー 思い 予算規模 哲]


ミゲルくんで有名な消臭力CMを手がける宣伝担当者がCMの裏話を語っています。
ミゲルくんの成長に合わせ、その時々にぴったりくる演出を展開しており、予算規模が格上の会社と戦うためのクリエーティ哲学について記事では答えています。

60s エステー 消臭力 CM 「ラッキー篇」 ミゲル さくらまや MarMee

-----以下、東洋経済オンライン 2013年12月20日08時00分 より引用-----
「消臭力」がそれでもミゲルを使うワケ 異色のエステー宣伝トップが語る、究極のクリエーティブ哲学

消臭剤「消臭力」シリーズなど、数々のヒットCMで有名なエステー。2013年8月にスタートしたシリーズでは、イケメンに成長した“ミゲルくん”と歌手のさくらまやさんがユニット「MarMee(マーミー)」を結成し、大人になった姿を披露。CMは8月後半のCM好感度で2位(CM総合研究所)を獲得し、話題となった。その一方で、名だたる有名企業が数百億の予算をCMに投下するのと比べると、エステーの広告予算は30億円程度と、特別多いわけではない。限られた予算の中で視聴者の心をつかむCMは、どのように作られるのか。CMの作詞作曲やタレントのプロデュースまでをも手がける異色の宣伝担当 執行役の鹿毛康司(かげ こうじ)氏にヒット作品を生み出す秘訣を聞いた。

■トヨタやリクルートにCMで勝つ!

――2013年も「消臭力」のCMが注目を集めました。

ミゲルが初めてCMに登場したのは2011年。印象的な曲調に乗せた、少年らしいかわいらしい容姿と意外なほどパワフルな歌声が注目されました。その後も歌手の西川貴教さんとコラボさせていただくなど、当時のヒットキーワードにもなりました。しかしそれから2年が過ぎ、「ミゲルはもういいんじゃないか」なんて声も聞こえてくるようになりました。声変わりもして、以前のかわいらしさが薄れてしまったと。でも、そんなことはないと思ったのです。僕はミゲルの東京の父と言われているくらいですよ(笑)。みんなを見返すためにも、ミゲルをメチャクチャかっこよくしてやろう、と、気合を入れ直しました。

そこで、子犬が成犬に成長していく中間にあるような、不思議な魅力を引き出そうと考えたのです。そのために、ミゲルのパートナーとして選んだのが、さくらまやちゃん。2人の強力なインパクトによって、CM好感度ランキングも2位を獲得し、みなさんに高い評価をいただくことができました。

(2013年話題になったミゲルくんとさくらまやさんの「消臭力」CM)

――ミゲルくんに代表されるように、CMの切り口が他社と違うと感じます。

そもそもCMは見られないものだ、という大前提があります。世間にどのくらいの数のCMが流れていると思いますか? なんと1カ月当たり約4000本ものCMが流れているのです。エステーの場合、商品の競合会社はP&Gや白元などですが、CMの単位で考えると、この4000本と戦っていかなければなりません。エステーの広告予算は30億円ほどで、日本企業の中で200位にも入らない予算規模です。そんな会社がトヨタ自動車やリクルートといった、予算が数百億円もあるような会社とライバルになるわけです。そこで生き残るためには、魅力的なクリエーティブが必要になると考えています。
■「あれもこれも」では、結局誰にも響かない

――魅力的なクリエーティブはどんなプロセスで生まれてくるのでしょう? 

クリエーティブをつくるにあたっては、大きく2つの段階があります。まずは「何を伝えるか」。そして、具体的にそれを「どう表現するか」という段階です。

「何を伝えるか」の段階では、論理的なデータ思考が重要です。商品の名前や特長、コンセプト、それによってどのような商品のイメージを作り上げたいのかを考え、順位づけをしていきます。なぜこの作業が重要かというと、「あれもこれも言いたい」と詰め込みすぎて、メッセージが重くなってしまいがちだからです。これでは誰にも届けることができない。とにかく、言いたいことを絞り「伝えたいこと」の本質に迫っていきます。

次に「どう表現するか」という段階です。伝えるべきことが整理できても、それだけでは素通りされてしまう。相手がドキッとするような演出を考えて、相手の“表情を変える”ことをしなければなりません。

たとえば、婚活パーティで、男性からいきなり「私は東大出身の34歳で年収1000万円、結婚願望アリです、よろしく」などと自信満々に声をかけられたら、女性はどう思うでしょうか。普通、引いちゃうでしょ。相手にとってどれだけ魅力的な条件だったとしても、事実を言うだけではだめ。伝え方をうまくやらなければ、メッセージは響かないのです。

さらに一歩進んで、「どう届けるか」にも踏み込む必要があります。僕はこれを「クリエーティブ2回変換」と呼んでいます。以前、プラグタイプの消臭力のCMを作ったとき、よいメッセージはできたものの、予算が少なく、放映回数を抑えなくてはなりませんでした。そこで僕は、唯一持っていた月曜夜9時のCM枠に毎回違う作品を流すことにしました。11種類のシリーズCMを作り、それぞれ2回ずつ放送したのです。

その結果、露出は他社より圧倒的に少ないにもかかわらず、生活雑貨部門のCMランキングトップ20に11種類中5本がランクインしました。「殿山くん」という殿様キャラクターを使った面白CMでしたが、同じ時間帯にシリーズ展開することで、少ない回数でも視聴者の印象に残るCMになったわけです。このように、届け方を“変換”することも重要だと思います。
■CMは人の表情を変える

――鹿毛さんがCM作りに際して、最も重要視していることは何ですか。

一言で言えば「表情」でしょうね。僕はいつでもメッセージを届ける相手の表情を想像しながら、CM作りをしています。なぜなら人は大事な決断をするとき、最終的には表情や感情で決めるからです。人生最大の契約である“プロポーズ”の瞬間を考えたときだって、その成否を分けるのは、相手の表情や感情を見抜けるかどうかでしょ。僕がCMという手法にこだわる理由もここにあります。人の表情を動かすのは動画や音楽など感性的なものが多い。

しかし困ったことに、表情は定量分析には決して表れないのです。僕らはよく商品テストでユーザーの方にグループインタビューを実施するのですが、そのとき参加者の何人かがある質問を受けて、「あっ!」と驚いた表情をしたとします。でも、調査会社の人は「8人が驚いた」とはレポートしてくれません、返ってくるのは質問に対する言葉の回答だけ。重要な情報がすっぽり抜けているのです。

たとえば、このインタビュー記事だって、読者の皆さんが今「なるほど!」とうなずきながら読んでいるのか、「なーんだ」と呆れて読んでいるのか、同じ作業でも全然、違うと思います。本当はマーケターとしてはその表情をみたいのに、それを知る術はデータにはないのです。

――鹿毛さんはデータをあまり重視しない?

いえ、そんなことはありません。クリエーティブばかりのイメージをもたれていますが、僕自身、MBAを取っていて、嫌というほど数値分析の重要性はたたき込まれてきました。それでも、データ分析こそマーケティングという風潮はおかしいと思います。最近は、何でも機械的にデータを処理し、それをビッグデータと言って満足している感じがします。ビッグデータ自体は否定しませんが、それだけではアウトプットは出せません。

そういえば、ミゲルとさくらまやちゃんのCMをリリースする前、ヤフーの方とパネルディスカッションをする機会がありました。その中で、ヤフーに蓄積されている膨大なテキストデータを分析し、「エステーの新作CMでミゲルの相手役を務めるのは誰か?」を当てる企画がありました。データがはじき出した候補の中に、さくらまやちゃんが出てきたときは「あっ!」と驚きました。でも、最終的に機械が行き着いた答えはジャスティン・ビーバー(笑)。ミゲルとビーバーは顔が似ているから、情報が一致したのでしょう。しかし、ビーバーでは当たり前すぎて、今回のような話題性は生まれなかったでしょう。結局、データでいい線まで行ったとしても、たどり着けない到達点があるんだなと実感しましたね。
■人の頭の中に広がる宇宙

――データよりも大切なものがあると。

そもそも、人間の脳以上に自由で豊かな世界はないと思っています。脳はまだまだ解明されてないことが多いし、それこそ宇宙のようなもの。自分が生きてきて、いろいろなことを感じたり経験したことが、頭の中で結び付いて思いもよらない発想につながる。

実はエステーのCMの曲は僕が作詞しています。これには学生時代にバンドを組んでいて作詞作曲をしていた経験が生きています。さらにミゲルをプロデュースするにあたって、声変わりが生かせる曲を作ってもらったり、大人な雰囲気に切り替えるための英国系の洋服を仕立ててもらったり、それぞれのプロフェッショナルを集めました。こうしてそれぞれのクリエーターの感性の宇宙をつなげると、ものすごい銀河系が広がって行きます。

このつながりはクリエーティブの世界にとどまりません。サイエンス思考の左脳人間とだって同じように融合できます。何しろ僕の妻も数学科出身の超左脳人間ですから(笑)。お互いの異なる個性や経験をつなげて、すごいところを認め合うことが大事です。これからもそうしたいろいろな人の頭の中を融合させながら、魅惑の銀河系を作り続けていきたいと考えています。

(撮影:風間 仁一郎)
-----以上、東洋経済オンライン 2013年12月20日08時00分 より引用-----

がんばれ~!ミゲルくん 消臭力 エステー さくらまや!


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